ひろしま建築めぐり①

海、川、緑に囲まれた平和都市広島。その美しいまちなみの中には、たくさんの素敵な建物や風景があります。そんな広島の魅力的なスポットをピックアップし、そのルーツや意外な見どころを知ることでまちの見方が変わり、ちょっぴり生活が豊かになればと思います。今回は、中区吉島にある広島市中工場について紹介させていただきます。

こつこつ追求型の方にオススメ

まるで美術館のような
ごみ処理場

広島市中工場は中区吉島に位置するごみ処理施設です。
吉島通りを南の方向へすすんでいくと、工場が立ち並ぶ中に一際目を引く箱のような建物が現れます。

中工場の一部は普段から解放されており、中を自由に見学することが可能です。
エントランスから中に入ると、この建物で一番印象的な空間である、「エコリアム」と名付けられたガラスで仕切られた通路があらわれます。

ガラスの奥に見えるのはごみを処理する機械なのですが、きらきらして美術品かのようにも見えてきます。

美術館のようなごみ処理場。
交わることのなさそうな二つの言葉で表現できるこの空間が、なぜかこの建物に惹かれる理由なのかなと思います。

ガラスで囲まれた通路は建物を貫通していて、奥に海と空が見えるのもなんとも気持ちが良いです。

工場と海の間は緑地帯のように整備されていて、天気が良い日には犬の散歩やピクニックの家族連れなどの姿を見ることができます。
開放的で自然を体中で感じることができる、なんとも心地のよい場所です。

ごみ処理場への
意識を変える

この建物を設計したのは、谷口吉生さん。
豊田市美術館やニューヨークの近代美術館新館など国内外で活躍しておられる著名な建築家です。

豊田市美術館
 https://www.museum.toyota.aichi.jp/

谷口さんがこれまで手掛けた建築を見てみると、美術館の数が多いことに気付きます。
そんな方が設計されたので、ごみ処理施設ながらこんなにも上品さを感じる建物に仕上がったのだと納得しました。

ごみ処理場というと、生きていくためには必要不可欠ですが、暮らしのすぐそばにあると煙たがられがちな施設です。

そのマイナスイメージを取り払うため、見た目のデザインを工夫してごみ処理場には見えないよう隠す、というのがよく用いられる手法のようですが、谷口さんは、ごみ処理場は現代の都市に必要な施設として意図的に工場らしい見た目とし、内部に公共的な空間をつくることで施設の価値を高めようと試みたそうです。

人間が生きることはごみをだすこと=ごみ処理場は都市に必要不可欠な場所。
煙たがらずに一度よく見てみようといったメッセージがこの建物には込められています。

広島のまちづくりとの
関りも

戦後復興期の広島市の都市計画において、建築家の丹下健三さんが現在の平和大通りと直行する形で原爆ドームと平和記念資料館を結ぶ軸を定めたことは有名な話ですが、中工場の敷地がその軸線の先にあることから、谷口さんは設計の初期段階から建物を通して海に抜ける軸線を作ろうと意識されていたようです。

出典:グーグルマップ
https://www.google.co.jp/maps/


普段何気なく見ている建物も、そのルーツを探ると様々な思いが見えてきて、その建物やまちへの意識や見方も変わるなあ、と改めて感じました。

歩行者用のガラス通路「エコリアム」は普段開放されています。
工場内部の見学は予約が必要だそうです。
詳しくは広島市のHPをご覧ください。

広島市 環境局 施設部 中工場
https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/93/

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