広島の海のめぐみ~海藻~生産者の想いを味わおう
海の生き物といえば、魚や貝、ミネラルたっぷりの海藻がありますね。海藻といえば、お味噌汁にぴったりのわかめ、おにぎりに欠かせない海苔、出汁には昆布などがあります。
また、副菜にはひじき、最近注目のアカモク、珍しいふのりなど様々。
いつもは乾物としていただくことの多い海藻ですが、その乾物も、そして生のとれたても、広島育ちならではの味があります。
それは、海藻たちの声を聞き、周りの自然と対話しながら一番良い状態で届けたいという生産者さんの想いがあるからです。
そんな、てまひまかけられて育てられた海藻たちの色々を生産者さんと共にご紹介したいと思います。
海藻は初夏が紅葉の季節

初夏の海の中をのぞいたことがありますか? この時期は、おもしろいことになっているんですよ。地上とは正反対の世界。海藻は秋に芽吹き、冬の間に育ち、夏には枯れてしまうものが多いのです。初夏は色々な海藻が最盛期を迎え大きく育って生い茂る時期。まるで、地上の紅葉そのものです。その中でも岩場を赤紫色に彩るのが「ふのり」です。
一年の中で春頃、生息している岩肌がでこぼこなので手摘みされ、他の海藻と見極めるのに干潮時しか採取できないという貴重なものです。海水が干上がった厳しい環境下でも生き抜く力を持っているふのりは、他の海藻に比べて栄養価の高い成分をもっています。味噌汁などで、普段からちょこちょこと食べていただきたいです。
同じく赤い海藻として、注目を集めているのがアカモクです。粘りがしっかり出る季節に摘み取り、さっとゆでて刻むとシャキシャキでネバネバの食感を楽しめます。癖が少なく長芋などほかのものとの相性も抜群。丼料理にかけていただくのがおすすめです。
これら海藻を生産しているのが呉市倉橋島鹿島の最南端にある「㈲石野水産」です。背景の石積の段々畑がとても美しい場所にあります。
石野水産は、「ちりめんじゃこ」で有名ですが、海藻にもこだわり「ふのり」や「アカモク」、その他に最も人気なのが昔ながらの鉄窯(現在はほとんどがステンレス窯)で炊く「ひじき」です。瀬戸内の穏やかな潮の流れを生かし、全国的には5月くらいに太いひじきを収穫するのが一般的ですが、まだ波も大きくない11月から2月頃の細いひじきのみを収穫します。さらに、水洗いをしっかりすることでザラつき、磯臭さの少ない繊細なのにシャキシャキの食感は石野水産ならではのもの。水で戻し、簡単な水洗いでそのまま使えるこのひじきはサラダにぴったりです。また、鉄窯で炊き上げられる釜揚げひじきは一度食べたら忘れられません。

お問い合わせ
有限会社 石野水産
http://www.kichiami.com
家族団らん、
暮らしに欠かせない海苔
人が集まるちょっとしたパーティーや、家族そろっての楽しい食事といえば手巻寿司!
少し改まった席には巻き寿司。毎日のお弁当に欠かせないのも海苔。海苔は暮らしに欠かせない存在です。
そんな海苔が出来あがるまでには、繊細な作業と迫力のある力仕事の連続があるのです。体力も勘もいかしきったものづくりです。

くるくると、色とりどりの水車が回るこちらの風景は田島漁港(福山市内海町)の海苔養殖種付の様子です。
海苔を作る過程に、こんな美しい景色があるなんて驚きですよね。
こちらの種付けは、顕微鏡で胞子の状態を確認しながらの精密な作業。その後の工程も、同じように何度となく顕微鏡で確認しながら胞子の成長を見守ります。天候も加味しながらの作業は、その時その時の的確な判断が海苔の味に影響します。その洗練された判断力と熟練の技で、ひと味違う海苔に仕上げられるのが「マルコ水産㈲」です。
初摘みの海苔は12月頃になります。甘味が強く柔らかいそれは、表面がつやつやとしてピーンと張っています。手で触ると簡単に割けてしまうので、大切に扱いたい1枚です。パリっとした食感、やわらかい口溶け、それと共に香ってくる風味は抜群で、まずは、そのまま食べるのがおススメです。
海苔は収穫時期によって色、品質が変わってきます。濃いものほど初期の段階で摘み取られた良いものになります。なかなかスーパーでは見かけない「初摘み」のマルコ水産の海苔をおススメします。
時間を置いて食べる巻き寿司などには、丈夫な焼いていない「寿司のり」(マルコ水産では「巻き海苔」)、すぐに食べる手巻き寿司などはパリッとした食感と風味豊かな「焼き海苔」がおすすめです。

お問い合わせ
マルコ水産 有限会社
https://www.maruko526.jp
広島湾ブランド「はつみ」
わかめの
オーナーになれちゃう?!
わかめは、お味噌汁に入れてもご飯に混ぜても美味しく、子供たちに人気の海藻ですね。旬の生わかめをお湯にサッとくぐらせた、わかめのしゃぶしゃぶは格別です。そんな美味しい生わかめのオーナーになれちゃうって、ご存じでしたか?しかもこの広島で、小さなお子様から!
40年以上前、昭和50年代から続く井口わかめの養殖は、あまり人に知られることなく、限られた人たちで食べられてきました。まだ20~30㎝の幼葉はわかめの概念を変えるほどの美味しさです。この味を多くの人と味わいたいと願い、「はつみ」(早摘み、初摘みわかめ)と名付けて広めてきたのは「井口漁業協同組合」です。
わかめのオーナー制度とは、わかめ養殖用の種糸を1本(1.5m)3000円で所有します。その1.5mのロープにわかめの赤ちゃんをくるくると巻き付け、自分のものと分かるようプレートに絵を描きます。それを同組合の方が海に吊るして育ててくださいます。数カ月後には、たくさんのわかめが成長しています。
わかめの体験を通して、子供たちが海の生物やそこに暮らす人々の関係を知り、興味や関心を抱き、そこにある自然を受け入れ対話することの大切さに気付いてほしいという期待が込められています。
わかめのオーナー制は期待通り、大変多くの方に喜ばれてきました。昨年はコロナで開催することはできませんでしたが、今年は開催予定とのことで、募集は秋です。今年はぜひ、井口わかめのオーナーになって、とれたてわかめを味わいましょう。

お問い合わせ
井口漁業協同組合
Tel: 082-278-3735
Fax: 082-278-2645
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ママライター
岡野陽子さん
子育てのじかん
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