「山の日」だから知っておきたい、あなたの知らない黄金山

2021年の8月8日(例年は8月11日)は「山の日」。「山の日」と聞くと、冠雪が残るような高い山や雄大な山々が連なる山脈をイメージするかもしれませんが、今回はあえて広島市南区の標高221メートルの小さな山「黄金山」を取り上げます。広島市民にとっては「桜の名所」や「夜景スポット」として知られる黄金山ですが、まだあなたの知らない魅力がたくさんあります。

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どこからどこまでが
黄金山?
黄金山の位置と範囲

目印は新幹線からも見えるテレビ塔
(だった)

新幹線で大阪方面から広島に向かい、アナウンスが広島の停車を告げるあたりで車窓の左側に見えてくる山が黄金山です。以前の目印だった頂上のUHFのテレビ塔が2020年に撤去され、現在はFMラジオのアンテナが残っています。

黄金山の標高は221メートルで山としてはそんなに高くはありませんが、周囲に山がない広島平野の中にこつ然と現れるので遠くからでもよく見えます。特に海から見たときには広島の入り口の目印になります。

黄金山を構成する4つの地域

仁保方面と丹那(たんな)方面からの道が合流して黄金山配水池付近から山頂へ向かう分岐(地元では「丹那峠」とも呼ぶ)から上、黄金山緑地や頂上に向かう山道が多くの広島市民のイメージする「桜の名所」「夜景スポット」の黄金山ではないでしょうか。

しかし周辺の地域も黄金山に連なる山に属しており、東側の仁保、北側の本浦、西側の丹那なども広い意味では黄金山に含まれます。いずれも宅地開発が進んだ団地のため、登山やハイキングのイメージはありませんが、牛田や己斐と並んで旧市内随一の急坂の上の団地です。ちなみに黄金山の標高は221メートルで、牛田山は260メートル、己斐峠は217メートルと高さも似たりよったりです。

東側の仁保は最も広く宅地化が行われており、中学校もあるし市内中心部行きのバスも通っています。

北側の本浦は市内側に最も近く最初期に宅地化が進んだ地域で小学校があります。またこの一体を指す地名である「仁保」の由来と言われる邇保姫(にほひめ)神社があるのも本浦地区になります。

西側の丹那は黄金山本体と谷筋で隔てられた小高い丘で、最も規模が小さい団地です。

なぜ「黄金」?
黄金山の名前の由来

写真提供:JOE COOLさん

黄金山は古くは「馬耳山」「城山」と呼ばれており、はじめて「黄金山」の名前が登場するのは16世紀末。毛利氏の時代に仁保城主であった三浦元忠が菩提寺として建立した「黄金山観音寺」の山号であると言われています。

黄金山の名前の由来は諸説あります。「白い実をつける南天の根元を掘れば小判(黄金)が出る」という黄金伝説もありますが、この写真を見ると「瀬戸内特有の夕陽に黄金色に輝いて見えたから」という理由が最もしっくりくるのではないかと思います。

元は島だった
黄金山の歴史

ご存じの方も多いと思いますが、黄金山一体は元々瀬戸内に浮かぶ仁保島という島でした。仁保島と対岸の向洋には「仁保七浦」という漁村が形成されていました。この仁保七浦は平安時代の歌人・小野篁の和歌

「入海の 二十浦かけて 十島なる 中に香深き 島は七浦」

で歌われている「七浦」であると言われています。

戦国時代には前述のように仁保島城という城が黄金山に築かれ、毛利と大内・陶の戦いの前線として幾度か戦場になります。写真は前出の丹那峠付近にある野山古戦場の案内です。

江戸時代に東新開(現在の東雲)の埋め立てにより広島城下と陸続きになりますが、引き続き漁業は盛んに行われていました。NHKのテレビ番組「ブラタモリ」でも紹介されていた山城町公園の船着き場後や七浦の1つであった大河浦の名残を残す「旧大河漁業組合」の倉庫などが当時の歴史を残しています。

第二次大戦後はさらなる埋め立て、国道2号線新広島バイパスの開通などにより漁村・農村から宅地へと大きく様変わり。現在の仁保・本浦・丹那などの住宅団地が形成されていきました。

黄金山緑地は自然林?
人工林?
黄金山の植生

黄金山の頂上付近に広がる「黄金山緑地」は、本来の植生を残した自然林の中に道路沿いに植林された桜が並んでいます。元々島だった名残として、島しょ部で生息が確認されているオオオサムシという虫が陸と地続きなのに黄金山でのみ確認できるなど埋め立て以前からの自然が残されています。

私もこの地域で生まれ育ちましたが、イタチやタヌキを見かけることもあり、最近はアナグマが出現したようです。昆虫にとどまらず陸生のカニを捕まえたこともありました。広島駅からたった3キロという市街地に程近い場所にありながら非常に多様な自然が残っています。

南区にはもう一つ比治山という低山がありますが、こちらと比べるとやや高く(比治山の標高:約70メートル)、比治山のように山全体が公園として整備されているわけではありません。黄金山が低いと言っても、東本浦あたりから登った場合は西広島から己斐峠まで徒歩で登るのとさして変わらない高低差があり、麓から山頂まで店舗などはほぼありません。もし徒歩での登山を考えている方はほんの少しだけご注意ください。

近くの山にも物語がある

広島市沿岸部では比較的大きな山であり、その存在はよく知られている黄金山ですが、近隣に住む人でもその山が持つ物語を知る人はあまり多くありません。本格的な登山をするような高い山だけではなく、こうした身近な山にも歴史や自然などの物語があります。

「山の日」をきっかけに、身近な山にも少し目を向けてみてはいかがでしょうか。

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