ラムネを楽しむ、漬物で喜ぶ。問い続けることでトビキリに。

ラムネに漬物、酒粕フレークに絵本。一見つながりがないように思えるこれらには、ある共通点があります。実はどれも「とびっきり上等なものをつくりたい」と大正14年に呉市で創業した中元本店(呉市)が取り組んでいること。4代目の中元順一朗さんに、中元本店の“トビキリな取り組み” に込めた思いや願いについて聞きました。

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ゲスト:中元順一朗さん

大正14年創業の株式会社中元本店の代表取締役社長、4代目。ラムネと漬物という異色の組み合わせが印象的な同社。「喜びをクリエイトする」をコンセプトに、商品開発や呉市の活性化に注力。2022年1月にホームページを刷新。

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ラムネでできることは
ないか

中元本店といえば、すっきりした味わいの「トビキリラムネ」がよく知られています。創業当時から作られているもので、呉の人たちに親しまれてきた飲み物です。その製法は旧呉海軍にも伝えられ、戦艦大和のラムネ製造機でも造られていたそうです。

そんな歴史あるラムネをベースに、呉市の豊島大橋近くで造られる海人の藻塩を使った「しおラムネ」、呉市の大和ミュージアムの開館にあわせた「呉大和ラムネ」、映画「この世界の片隅に」とのコラボラムネなど、ラムネで地産地消、ラムネで呉市を応援。新しいラムネを次々に生み出しています。

商品開発の歩みを止めないのが、中元本店のスピリット。創業時から伝えられるすべてのレシピに「この手法は最上のものではない。より研究して大衆に受け入れられるものを作らなければならない」と記されているそうです。

「レトロ飲料」と名付けた商品群には、呉が活気に満ちあふれていた戦後復興期から高度経済成長期に、駄菓子屋や銭湯でお馴染みだった昔懐かしい飲み物がラインアップしています。ミルクセーキやフルーツクリーム、ミルクコーヒーなど、「懐かしい~!」と思わず声が漏れる人も多いはず。「呉が元気だったあの頃を思い出してほしい。そして呉がもっともっと元気になるようにという願いを込めたものです」と教えてくれました。

漬物をもっとポップに

中元本店のルーツにはもう一つ、「漬物」があります。

定番の黒袋シリーズは、さわやか大根、広島菜、白菜。袋から取り出して、切っていただく漬物の定番スタイルです。

ぬか漬けをもっと新鮮な状態で味わってほしいと、つけ床と野菜を一緒にしたシリーズも販売しています。

「漬物をもっとポップに手にとってほしい。漬物の間口を広げたい」と開発したのが、一口サイズに切り分けてスタンドパックに収めた「ひと口パック」シリーズ。ほしい量だけをさっと取り出せるし、持ち運んだり食べ歩きだって可能です。

味わいだけでなく、パッケージ開発やラベルデザインに力を入れているのは、ラムネや漬物の新しいあり方、暮らしへの取り入れ方を提案するため。「漬物がおいしいだけでなく、例えばかわいい、かっこいい、おもしろいという要素が加わると、プレゼントしたいという行動につながりますよね」。漬物をプレゼントするという新しい選択肢の提案です。

「こうした変更やチャレンジは、すべて手作りでしているのでしやすいんです。私たちは瓶入りの飲み物しか造れない、うちの味を出すには機械化は難しいなど、一見マイナスに思える状況を逆手にとって、日々やってきたことを整理しながら手を入れています」

サラダに酒粕、これまで
ないことにチャレンジ

ラムネと漬物という組み合わせですでに異色ですが、さらにちょっと変わった商品があります。それは「サラダにかける酒粕フレーク」。酒粕を加工してそのままで食べられるようにフレーク状にしたもので、プレーン、ハーブソルト、レッドペッパーの3種類があります。

開発の出発点は、「酒粕のよさを生かせないか」という問い。中元本店では、呉市や東広島市にある酒蔵から酒粕を仕入れています。甘酒や粕漬などに使い、酒粕の販売もしていますが、近年、米麹による甘酒に注目が集まり酒粕の需要が落ちてきました。それを盛り上げようと開発したのが「酒粕フレーク」です。「これまでなかったことにチャレンジしたい」とデザイン経営の考え方を取り入れて、「発酵の力で生活を豊かにする」というコンセプトのもとに開発がすすめられました。

本来は焼く煮るなど手を加えていただく酒粕を、加熱してフレーク状にすることで、いつでもササっとふりかけるだけで使える商品としました。サラダやパスタ、焼き魚にも合うそう。3種類の味付けがあるので、同じ食材でも使うフレークを変えると違う味わいになります。酒粕の形状を変えたことで、酒粕の用途がぐっと広がりました。

中元さんのてまひま

2019年に、絵本「ラムネだいおうとたろうちゃん」(下町書房)を制作しました。物語を作ったのは中元さん。あらすじを少し紹介すると、「こどもにはラムネはまだはやい!」と言われてしまった男の子が、ラムネを飲めるようになるまでの成長物語。ラムネを開けるということだけに着目した、ほかにはない楽しいお話です。

ラムネの栓を開けるときの緊張感、どうやったら上手に飲めるだろうと試行錯誤する様子に、「私もそうだった!」と多くの人が共感するはず。大人も子供に戻って楽しめます。そして背景にも注目。「できるだけ今の呉市を感じられるようにしました」とのこと。呉になじみがある人は特に楽しめるポイントが満載です。

「ラムネを造る会社は、かつて全国に4000社あったのが今は50社ほど。うちはラムネと漬物の2つの事業がありますが、縮小しつつある業界です。呉市を見れば、人口が減っていくことが予想されます。この会社を、この町を、もっと元気にしたい。そのためにも、これまでやってきたことを信じて、深化させて進化していきたい。みんなが喜んでくれる仕掛けをもっとしていきたい」と目を輝かせます。中元さんの“よろこびクリエイト”はまだまだ続きます。

会社 株式会社中元本店
住所 呉市三条1丁目4-8
TEL 0823-25-4644
ネット販売 https://tobikiri.thebase.in/
店舗 トビキリ本舗
店舗住所 呉市宝町5-10(ゆめタウン呉店食品売り場内)

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