コーディネーターに聞く、失敗しない照明選びのポイント
照明は部屋の中を明るく照らすだけでなく、灯りの種類によって様々な雰囲気を演出してくれます。今回は山根木材のインテリアコーディネーター 山根康子さんに、照明選びのポイントをお伺いしました。ぜひインテリア選びの参考にしてみてください。
光色の種類
照明を選ぶ時に悩むことの一つに光の色=光色があります。光色はケルビン(K)という単位で表されます。ケルビンの数値が低いほど暖かな色に、数値が高くなるにつれて白~青白いはっきりとした色になっていきます。


電球色:2,700~3,000K
電球色は朝日や夕日に近い色で、落ち着いた雰囲気を演出できます。
温白色:3,500K
電球色と昼白色の中間の色で、あたたかく明るい雰囲気を演出できます。
昼白色:5,000K
日中の太陽光に近い色で、さわやかで活動的な雰囲気を演出できます。
光色選びのポイント
ダイニングには電球色がおすすめ

ダイニングの照明には「電球色」をおすすめします。
人は赤い色を見ると唾液の分泌が活発になり、食欲が増したり消化が促されるといわれています。電球色には赤色の波長が多く含まれているため、食欲が増す効果が期待されます。
キッチンには「昼白色」がおすすめ


キッチンの照明には「昼白色」をおすすめします。一番明るく感じられる色なので、食材の色味や調理の具合を確認しやすくなります。
上の写真の電球色で照らされた野菜はどことなくぼんやりした印象になるのに対して、昼白色で照らされた野菜はそれぞれの野菜の色がはっきり感じられませんか?
灯りの色によって食材の見え方はこんなに変わります。
また昼白色は太陽光に近い色なので、心理的に活動的になったり集中できる色ともいわれています。
その特性から作業スペースや学習スペースにもおすすめです。
場所だけではない光色選びのポイント
ダイニングやキッチンのおすすめの光色を紹介してきましたが、必ずしも全ての人に当てはまるものではありません。
加齢により色の見え方は変わってきます。高齢になると電球色では色が見えづらいと感じる方も増えてきますので、より色がはっきりわかる昼白色や中間の温白色をおすすめする場合もあります。
また、キッチンとダイニングのような同じ空間で光の色を変えるのが不安という方には、光色切替や、調色のできるライトコントロールができる照明をおすすめします。
光の色の感じ方は人それぞれですので、やはり実際の光を見て感じていただくのが一番良いと思います。
スタンドライトのすすめ
おうちの照明というと天井付けのシーリングライトを選ばれる方が多いですが、シーリングライトだけだと十分に明るくならなかったり物足りないと感じる方に、コンセント1つで設置できるスタンドライトでの間接照明をおすすめします。

こちらの写真はとあるリビングです。左手前に一つスタンドライトが見えていますが、これ以外にも3つのスタンドライトが隠れています。全てのライトを点灯した状態が下の写真です。

左奥と右奥の2つのスタンドライトの光が壁や天井に反射することで、お部屋全体をしっかり明るく照らしてくれています。ソファーの横にあるライトは主に手元を照らしてくれます。一室多灯の照明にすることで陰影が生まれ、空間にリズムと奥行がつくられています。
谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』にもあるように、暗がりの中で浮かび上がる屏風の金や漆の器のつやに美しさを感じる美意識が日本にはあります。暗がりがあるからこそ生まれる美しさを感じるDNAが私たちには流れているのです。

スタンドライトはコンセントさえあれば優しい灯りを演出することができます。お気に入りのライトをリビングの一角やベッドサイドに置いて、日々の暮らしの中に灯りをともす楽しみを加えてみませんか?
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