【東広島レポート】子育てライターが聞きました。助産師さん座談会。
「お母さんたちに寄り添いたい!」
県外からの移住者が多い東広島市。人口と世帯数が年々増加している全国的にも珍しい街ですが、県外から引っ越してきての子育ては大変なことが多いこともありますよね。
知らない土地で、知り合いもなく、頼れる身寄りもいない…、そんな孤独なお母さんにぜひ知ってほしい存在がいます。それが「助産師さん」。
今回は、東広島で活動されている、お母さんの頼れる存在である3名の助産師さんにお集まりいただき座談会を開催し、子育てのじかんライター 三井祥子が司会進行しました。場所は、ゆめタウン東広島内にある、お子さんとお母さんの姿が見える子育てひろば『コミュニティカフェfun fan陽だまり』です。
助産師さんのご紹介

写真左から
・出張専門助産師はぐ 宍戸 萌さん
・柳谷助産院 院長 柳谷 典子さん
・赤ちゃんとお母さんの学校Umalelu代表 森迫 泉さん
です。(以下、敬称略)
三井 お一人ずつ自己紹介をお願いします。

森迫さん
赤ちゃんとお母さんの学校Umalelu代表をしています。
産後相談や母乳相談を行なっています。
お母さんたちの心のケア、本当に子育てに困った時に、内面で孤独になったりとか虐待しちゃいそうとかいうところのケアをしたく、心理学の講師をメインの活動としてやっています。
柳谷さん
柳谷助産院をしています。メインは出張のケアをさせていただいてて、母乳ケア、母乳育児相談をやっています。お産はしておらず、育児相談やケアという形でお家に行かせていただいたり、講座などもしています。
お母さんが自分で妊娠して出産をして育児をしてという流れが自分で『やった!やり遂げた!』って思える、その自信になってもらえる伴奏者としてやらせてもらっています。


宍戸さん
出張専門助産師はぐ、という名前で開業しています。
出張が専門でお産はできないので、講座をしたりとかおっぱいのケアや育児相談を自宅でさせてもらったりしています。
自分が3人子供がいて全員ねんねで困った経験がありまして。特に一番下の子が、1歳9ヶ月で新生児並みに頻繁に起きてて、それを改善していったら自分が寝れることで楽になってすごく子供がかわいいな、って思えるようになったんです。
『しんどい…』って耐えてるお母さんに、『こうやってったらこう変わっていくよ!』っていうのを伝えていくことで、皆さんが楽になると思うし、お母さんが一番元気じゃないと子育てってしんどいなって思うので、そこが元気になれるような関わりをしていきたいなと思って活動しています。

三井 助産師さんのお仕事って見えるようで見えないっていうのが正直ありまして。自宅出産をした人しか利用できない、って勝手に思ってたんです。助産師の皆さんはどう感じられていますか?
柳谷さん 私は実際に今まで病院とか自治体で働いてきたんですけども、『病院にいる人』と見られることがすごくありますね。
こんなに地域に助産師がいることを知らないお母さんや自治体の方もいらっしゃいます。本当にもったいない なぁと思うことがあります。
助産師って、生まれた時から亡くなるまでの女性の性の悩みにずっと付き添っていくお仕事なんです。
生まれた時とか妊娠中だけ相談できる場所ではなくて、お母さんが必要な時にどのタイミングでも相談できる場所だよっていうのが伝わるように活動できたらいいなぁと思っています。
森迫さん 私は、自宅出産のサポートもしていますが、実際助産師がいるという情報 に出会わない方が多いし、自宅で産む選択があることすら知らないことがほとんどですよね。
今も、選択肢が無い、出会わない、不調になっても病院に行くしかない、サポートを求めようとも思わないのが普通、みたいなことが起きてるのかなぁと思ってて。
私は活動を通して、よりたくさんのお母さんたちと広く出会っていきたいなと思っているんです。
食生活とか、産前産後の中で何を整えるかっていったら日常的な習慣とかをお伝えすることも助産師の大事な役目なのですが、助産師=赤ちゃんをとりあげる人、病院にいる人みたいな感じはやっぱりあると思うので、そのあたりの情報が広くお母さんたちに伝わればいいなぁというのはすごく感じています。
宍戸さん 私は病院で働いてたので、その時は入院期間しか関わってあげられなかったです。
実際のところ、お母さんが大変になるのは、自宅に帰ってからなんですよね。
サポートしてほしいところに人手が足りてなかったり、人手はあるのに知られてなくて、点と点が繋がっていないな、とすごく感じます。
情報を探しにいかないといけないしんどさだったりとか、困った時ってすぐ助けてほしいのに病院がじかんが決まってたり、何ヶ月で区切られちゃったりとか。しんどい時にできる人がサポートして、できないところは病院に助けてもらいながら、私たちもみんなでサポートをできる東広島になればいいなぁと思っています。

三井 本当にそうですね!助産師さんという存在を知ってもらうということはすごく重要だなと思うんです。実際にどういうふうに助産師さんの門を叩いたらいいか、わからないというものあると思うんですが。
柳谷さん そうですね。助産師会で、オンライン相談というのも実は2年前からやってるんですよ 。
それを知るチャンスがないわけではないのですが、本当に『あ!困った!』という時にどこで調べたらいいか分からない、というのが現状ですね。Instagramとかそういうのでパッと調べられる人もいれば、もう、とてもじゃないけど携帯を見るじかんがないお母さんもたくさんいるし、慌ててパニックの時にそういうところを探すってなかなか難しいと思うんです。
なので、本当に妊娠中から途切れなくそういう機関を使いながら情報も備えておくというのがすごく大事だと思います。
私たちもこういうところに出たり、ラジオとかでお伝えしたり、途切れなくずっと繋がった線上でお母さんたちと会うところでアクションかけていくというのが大事だと思います。
三井 途切れなく関わること、ホント大事ですよね!
森迫さんはヨガなど助産師さん以外の活動もされていて、心のケアもプロフェッショナルでいらっしゃいます。
情報を探すことについて、お母さんたちはどのように感じていると思いますか?
森迫さん 自分で探して来れる人はまだそこまで重くないっていうか、動ける力があるんだけど、本当にもう厳しい・きつい、っていう時って、出ようともできないし、探すこともできないですよね。
例えば、お母さんのヨガとか、抱っこでヨガの参加者さんの中ですごい困ってる人がいたりとかするんです。
または、その人の友達がすごい引きこもってたりするっていうのが今まで結構あったりするんですよ。
そういう意味では入り口はなんでもいいと思ってて、産前産後とか母乳ケアじゃなくてもお母さんたちと関わる場所に行き続けさえすれば、本当に困ってる人に出会えるし、何かしら届いていくのかなぁと思います。
三井 ありがとうございます。宍戸さんは主にオンラインでの活動ですが、お母さんたちとはどのようにつながっていますか?
宍戸さん 「『東広島・助産師』とか、『ねんね 助産師』や『乳腺炎 助産師』で検索くださるか、今はInstagramからが結構多いのかなと思いますが、それを見れる人って元気だなって思います。
すっごくしんどくて『困ってます!助けて!』って言う人は、講座をさせてもらってる支援センターで繋がることが多いです。
ねんねの改善って、『それホントに?』と思われちゃうんですが、改善したお母さんが元気になっていく姿を見てみんな信用してくれるってのがあるので、草の根活動で実感してくれる人を増やしていっています。
また、支援センターの先生とかにも知ってもらって繋げていける人をどんどん増やしたいなとも思っています。

三井 助産師の皆さんも、草の根活動で努力されているんですね。では、今現在活動されてる中で、助産師さんの目で見た、親子関係とか、お母さんのしんどさとか、感じるところをお聞かせください。
宍戸さん 『1歳近いんだけど、他の子と関わらせたことありません』という方も結構いらっしゃるんですよ。
お母さん自身も他の人としゃべることで発散できることもあるだろうし、子供も情緒の発達とか、集団でいることで学べることってたくさんあると思うんです。
柳谷さん 本当にそうだと思います。
お母さんは本当に体を動かす機会がないんです。お子さんもない。
寝返りがうてません、座れません、ハイハイできません、っていう方のお話を聞いてみると、やはりお家にいることが増えてずーっと二人で顔付き合わせています。
泣かせたら悪い、泣かせたら周りの近所に迷惑がかかるって思ってるんです。ずっと抱っこかおんぶ紐かバウンサーとかに入れて何かの手段で泣かせないようにしていて、その結果、体を動かす時期に動かせなくなってて、結局お母さんが悩むっていう悪循環になってるように感じます。
そういう時、お母さん自身がちょっと体を動かしてみると、私こんなに体が硬くなってこんなにしんどかったんだって、ポロポロっと言葉が出てくるんですよね。お母さん自身が体や気持ちがしんどいなぁと思った時にそれをほぐせる場所があるってことはすごく大事だと思います。
森迫さん いろんなところでお母さんたちに制限とか、こういう時はこうするべきだとか、すごい多くてお母さん自身がやらなきゃいけないと思ってることが多すぎますよね。
公園とかも、行きたかったらいいけれど、『遊ばせないと!』と思ってストレスを溜めていくとよろしくないし、イライラするお母さんとか、しんどいお母さんを見てる子供はもっとしんどいですよね。どうやったら自分も子供と優しく過ごせるのか?というところを考えようとしてみてほしいなぁと思います。
何時に寝かせないといけないっていうのも本当はないと思うし、週3回外に連れ出さないと…とか。そういうのも私はどっちでも良いと思ってて。
目の前に子どもがいて、どうやったら仲良く過ごせるか?どうやったらできるだけ楽しく過ごせるか?多分、家庭家庭での工夫でしかないと思うんです。
柳谷さん そうですよね!子供のために何かしてあげたいと思うお母さんの気持ちがあるんですけど、それよりもまず自分に目を向けてみて!っていうのがすごくあります。
自分がしんどくて愛が枯渇している時にどんなに注ぎたくてもやっぱり愛って注ぎきれないと思うんです。
お母さんがこんな弱くちゃダメだとか、お母さんはこうあるべき、みたいなのがあるけど、でもしんどいなぁ…と思う自分に気付いてほしいなぁと思いますよね。
三井 確かに、しんどいって思っちゃいけない…って、結構ありますよね。
宍戸さん 「やらなきゃ、やらなきゃっ!で抱えこんでしまう、だけど子供とのじかんも大切にしたいし手をつないでおかないと、、、
みたいな感じですよね。自分じゃなくてもできることは周りの人にお願いして、少しでも荷物が軽い状態でやってもらえると育児もちょっと楽になるかなぁって思います。
女の人としても自分の人生が楽しくなると思うんです。
でもそれって、すごい練習が必要だと思うので、ママになってからじゃなくて、妊娠中から少しづつ練習していってもらえるといいかなぁって思ってます。

三井 皆さん、たくさん貴重なお話ありがとうございます。
では最後に、暮らしのてまひまの読者さんに向けてお一人ずつメッセージをお願いします。
森迫さん どう子育てを楽しむか?を目の前の子供を自分が感じながら、トライ&エラーで育児をしていくことが一番だと思います。
お母さんが本当に自分に優しく、自分に優しくすることってどういうことなんだろう?っていうのを、ちょっとでも育児の隙間に考えることができたらいいなぁってすごく感じます。
柳谷さん 例えば、『今日私、何が食べたいかな?』って考えたときにすぐ思い浮かばない時ってやっぱりすごく疲れてる時だと思うんですよ。なので、そんな時にはいつでも助けてほしい、とか言ってほしいし、いつも寄り添ってくれてる人がきっといると思うので、そこを信じてやってみてもらいたいなぁと思います。
宍戸さん しんどいなぁって思った時はもちろん、私たちに頼ってほしいんですけど、こういう事うれしかったな…とかそんなつぶやきでもいいからいつでも気軽に言いに来てほしいですね。私たちも全部が全部解決はしてあげられないけど、繋げていくことはできるので、ちょっとしんどいからあの人に聞いてみよ!みたいな感じで思い出してもらえる一人になっていけたらいいなと思います。
三井 これを機にお母さんと助産師さんの距離がグッと近くなったらいいなぁとすごく思いました。ありがとうございました!
お話を伺った
助産師さんのご紹介

赤ちゃんとお母さんの学校Umalelu
代表 森迫 泉さん
https://smart.reservestock.jp/menu/profile/33816

柳谷助産院
院長 柳谷 典子さん
https://higashihiroshima.hp.peraichi.com/yanagidanijyosanin

出張専門助産師はぐ
宍戸 萌さん
https://hugmidwife.wixsite.com/hugmw
今回場所をお借りしたゆめタウン東広島3階にある
コミュニティカフェfun fan陽だまりさんでは、お話を伺った助産師さんと直接話せるイベントなども随時行っています。
ぜひ一人で悩まず利用してみてくださいね。

コミュニティカフェfun fan陽だまり ホームページ
http://www.npo-hidamari.or.jp/funfan
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